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アンカー 1

​白亜紀花崗岩類の花崗岩岩石学

何故、花崗岩を研究するのか?
それは大陸地殻形成と成長のメカニズム解明につながるからです。
大陸地殻は花崗岩質です。では、その花崗岩はどのようにして形成されるのでしょうか?これを知るためには花崗岩が持っている情報を紐解くしかありません。
何故、白亜紀?
現在の地球では火山などで地球の息吹を感じることが出来ます。
しかし、白亜紀には想像を絶するほどの火成活動が存在しました。例えば、太平洋をぐるっと囲む環太平洋地域にはこの白亜紀火成作用の産物である花崗岩が広く分布しています。この花崗岩をつくる火成作用のメカニズムについて、いろいろな議論がされていますが、決定的な議論はこれまでされていません。大陸地殻の成長に関与しているであろうこの白亜紀花崗岩の研究から大陸地殻の成長について調べてみたいと感じました。
西南日本の白亜紀花崗岩
日本でも白亜紀花崗岩を見ることが出来ます。主に西南日本に分布する花崗岩類が特に有名です("領家-山陽"と呼ばれるヤツです)。この分布域は、白亜紀に大陸の最も海溝側だったと考えられます(日本海が拡大する前は日本列島も大陸の一部だった)。大陸の縁辺では大陸地殻が海洋地殻から表層物質をはぎ取って付加体を形成します。この時点では、”花崗岩質”ではありません。
西南日本白亜紀花崗岩類を構成するような花崗岩が付加体中に形成されることで、花崗岩質な大陸地殻が成長するのでは?そう考えて研究しています。

地殻断面.png
大陸地殻縁辺域で起こっている(はず)の現象。
地下深いところは誰も見たこと無いし、よくわからない。
現在見ることが出来る岩石からその現象を紐解く必要がある
東アジア.png
Kim et al. (2017)から引用させていただいた
日本海拡大前の東アジア地域の深成岩分布図。
赤い部分は顕生代の深成岩。星の部分が高縄半島。
ちゃんと自分で図を作ります。しばしお待ちを。

-愛媛県高縄半島の例-
​私一番の研究地域です。大学から近いので調査行きたい放題です。
この高縄半島には付加体由来の変成岩、地殻由来の花崗岩、マントル由来の苦鉄質岩が分布しています。花崗岩は白亜紀花崗岩類に属するもので、岩石学的特徴の異なる複数の岩体から形成されます。この高縄半島の花崗岩に対して、全岩化学組成分析・ジルコンU-Pb年代測定・Sr-Nd同位体組成分析を行いました。これまでわかったことは以下の3点。

②年代測定の結果、これらの花崗岩は3つ(もしくは4つ)の活動時期に段階的に形成された。

※よく言われている『領家古期=片麻状、領家新期=塊状』適応されない(片麻状より塊状の花崗岩の方が古かった)。

①この地域の花崗岩はその岩石学的特徴から少なくとも10の岩体に区分できる。

③同位体測定の結果、花崗岩の形成時に堆積物の関与は限定的だと考えられる。

※花崗岩質マグマは①玄武岩質マグマの結晶分化、②堆積岩の部分溶融などによって形成される。

高縄半島.png
図2.png
図1.png
上)花崗岩に貫入する苦鉄質岩脈
  花崗岩と苦鉄質岩の関係はどうなっている?
  このMMEは花崗岩-苦鉄質岩がマグマ(液)同士で接してい
  たことを示唆。岩脈はシャープな境界を示す。
下)変成岩と花崗岩の境界
高縄半島の地質図。(ゼミ資料を転用)

-香川県荘内半島の例-

どうも半島を調査地に選びたがるんですね。この荘内半島は研究室の後輩である原君と一緒に調査しているフィールドです。高縄半島よりも変成岩・苦鉄質岩の露出が多く、マントル-地殻プロセスを考えるにはいいフィールドです。しかし、この地域の岩石学的研究は野外調査・地質解説書への記載しかされていません(同位体の研究がされているみたいだけど公表されていないまま,,,)。地域地質をもとに広域的なマグマプロセスを理解しようということで、高縄半島から足をのばしてやってます。

76072.jpg
​荘内半島で見られる花崗岩(白)と苦鉄質岩(黒)の産状
マグマ混交?苦鉄質岩が花崗岩を溶かした?
謎が多いです。いろいろ妄想しながら野外調査をすると楽しいです。

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